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相続した不動産を売却する方法とは?手続きの流れや特別控除を解説

「実家を相続したが、住む予定がない」
「固定資産税や維持費だけがかかりそうで不安だ」

このように、相続した不動産の扱いに悩む人は多いだろう。

相続不動産の売却は、通常の売却とは異なり、期限のある手続きや税金の特例(3,000万円控除など)が絡むため、判断を誤ると数百万円単位で損をしてしまうリスクがある。

そこでこの記事では、相続物件の売却で失敗しないために必要な知識を解説する。

この記事を読めば、複雑な手続きの全体像が整理され、手元に資金を多く残すために、いつ・何をすべきかが明確になるはずだ。

将来的なトラブルを防ぎ、納得のいく売却を実現するためにも、ぜひ最後まで目を通してほしい。

\6年連続不動産査定サイトNO.1

※2024年9月20日-24日 「サイト評価に関する調査」より

目次

相続した不動産を売却する流れ

相続した不動産を売却するには、いくつかの重要な手続きがある。特に相続登記や売買契約など、法的な手続きが多いのが特徴だ。

スムーズに相続不動産の売却を進めるためには、事前に流れを把握しておくことが欠かせない。

ここでは、相続発生から名義変更、売却、確定申告までの一連の流れを詳しく解説する。

STEP内容目安期間
相続発生〜相続人の確定3〜6ヶ月
遺産分割協議・相続登記3〜6ヶ月
査定・売却準備1〜2ヶ月
売却活動〜売買契約3〜6ヶ月
決済・引渡し・確定申告1〜2ヶ月

①相続発生〜相続人の確定

相続が発生してから、相続人が確定するまでにかかる期間は、およそ3〜6か月が目安だ。

この時期に行うべき重要な作業は、大きく分けて次の2つである。

遺言書の確認

被相続人が亡くなったら、まずは遺言書の有無を確認する。遺言書がある場合、基本的にはその内容に従って手続きを進めることになる。

ただし、遺言書の種類には注意が必要だ。 「公正証書遺言」であればすぐに開封できるが、「自筆証書遺言」の場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きを受けなければならない。

検認を受けていない自筆証書遺言は、法務局での名義変更や銀行での手続きには使用できない。

また、検認前に勝手に開封してしまうと「5万円以下の過料」というペナルティが科される恐れがある。自宅で遺言書を見つけても、決してその場で開けてはならない。

相続人の確定

遺言書の確認と並行して、「誰が相続人になるのか」を法的に確定させる必要がある。

そのために必須となるのが、被相続人(故人)の「出生から死亡まで連続したすべての戸籍謄本」の取得だ。

民法では相続人の範囲(法定相続人)が定められており、主に配偶者や子どもが対象となる。集めた戸籍謄本を漏れなく確認することで、初めて正式な相続人を確定できるのだ。

②遺産分割協議・相続登記

相続人が確定したら、次は「誰がどの財産を引き継ぐか」を話し合い、不動産の名義を変更する段階に入る。

このフェーズにかかる期間は、およそ3〜6か月程度が一般的だ。

遺産分割協議書の作成

相続人が複数いる場合は、全員で遺産の分け方や割合を話し合って決定する。これを「遺産分割協議」という。

全員の合意内容を書面にまとめたものが「遺産分割協議書」であり、完成には相続人全員の署名と実印の押印が必須だ。

なお、以下のケースでは、原則として遺産分割協議(および協議書の作成)は不要となる。

  • 遺言書がある場合(遺言の内容に従うため)
  • 法定相続分通りに分割する場合(全員が民法で定められた割合で引き継ぐことに同意している場合)

もし話し合いで全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所での調停が必要となり、手続きが長期化してしまうので注意が必要だ。

相続登記(名義変更)

遺産分割の方針が決まったら、速やかに行わなければならないのが「相続登記」だ。これは故人名義の不動産を、相続人の名義に変更する手続きである。

ここで最も重要なのは、2024年4月1日の法改正により「相続登記が義務化」されたという点だ。 相続の開始を知ってから3年以内に登記を行わない正当な理由がない場合、「10万円以下の過料」が科される可能性がある。

手続きは管轄の法務局で行う。主な必要書類は以下の通りだ。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(または遺言書)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 登記申請書

書類を提出し、登録免許税を納付すれば手続きは完了となる。

③不動産の査定・売却準備

相続登記(名義変更)が完了したら、いよいよ具体的な売却活動の準備に入る。

このフェーズにかかる期間は、査定から業者決定まで1〜2ヶ月程度が目安だ。

不動産に査定を依頼

まずは、所有する不動産が「いくらで売れそうか」、適正な売り出し価格を把握することから始める。

  • 目的:
    市場価格(相場)を正確に把握し、高すぎて売れ残る、あるいは安すぎて損をするリスクを防ぐため。
  • ポイント:
    査定は原則無料で行える。ただし、1社だけの査定額ではその価格が適正か判断できない。必ず複数社に査定を依頼し、査定額や根拠を比較検討することが重要だ。

不動産会社と媒介契約を締結

査定結果や担当者の対応を比較し、売却を任せる不動産会社を決めたら、「媒介契約」を締結する。

媒介契約とは、不動産の売買仲介を正式に依頼する契約のことだ。これを結ぶことで、不動産会社は広告の掲載や購入希望者との交渉といった営業活動を開始できる。

なお、媒介契約には以下の3種類がある。それぞれの特徴を理解し、自身の状況に合ったものを選ぼう。

依頼できる社数自己売却売主への
報告義務
特徴
専属専任媒介契約1社のみ不可1週間に1回以上最も縛りが厳しいが、手厚いサポートが期待できる。
専任媒介契約1社のみ可能2週間に1回以上1社に任せつつ、自分で買主を探すことも可能。
一般媒介契約複数社可能義務なし多くの会社に広められるが、報告がないため進捗が見えにくい。

【選び方のヒント】

例えば、売却を急いでおり、窓口を一本化して密に連絡を取りたい場合は、広告力のある会社と「専属専任」または「専任」契約を結ぶのが効果的

逆に、人気エリアの物件で、多くの不動産会社に競争させたい場合は「一般」が向いているケースもある。

④売却活動〜売買契約

媒介契約を締結すると、不動産会社による本格的な売却活動がスタートする。

この期間は、物件の立地や価格設定にも左右されるが、平均して3〜6か月程度が目安だ。

購入希望者の探索と交渉

不動産会社は、インターネット広告やチラシの配布、現地での内覧対応などを行い、購入希望者を探す。

購入希望者が現れたら、価格交渉や引渡しの時期などの条件をすり合わせ、双方が合意すれば「売買契約」へと進む。

売買契約の締結と手付金

契約時には、買主から売主へ「手付金」が支払われる。金額は売買価格の5〜10%が相場だ。 ここで注意したいのが、契約後のキャンセルに関するルール(手付解除)である。

  • 買主都合のキャンセル: 支払った手付金を放棄する。
  • 売主都合のキャンセル: 受け取った手付金を倍額にして返還しなければならない。

契約成立後は、安易な理由でキャンセルすると金銭的なペナルティが発生するため、慎重な判断が求められる。

⑤決済・引渡し・確定申告

売買契約から通常1〜2か月後、最後の手続きである「決済・引渡し」を行う。

買主から残代金(売買価格から手付金を引いた額)が一括で支払われると同時に、物件の鍵や書類を渡し、司法書士が所有権移転登記を行う。これで不動産の名義は正式に買主へ移る。

不動産の手続き自体はこれで完了だが、売主には翌年に行うべき重要な納税手続きが残っている。

確定申告(譲渡所得税の申告)

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、税金を納めなければならない。

利益の計算式は以下の通りだ。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費: その不動産を購入した時の代金や手数料(建物は減価償却後の価額)。不明な場合は売却価格の5%で計算することもある。
  • 譲渡費用: 売却のためにかかった仲介手数料や印紙税など。

なお相続した不動産には「相続財産の取得費加算特例」や「3000万円の特別控除」などの税制優遇措置がある。自身がこれら控除の適用対象であるか、確認するとよい。

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相続不動産の売却で発生する費用と税金

相続不動産を現金化する際、高く売ることと同じくらい重要なのが、「出ていくお金(費用・税金)」を正しく理解することだ。

特に税金については、不動産の所有期間や特例の有無によって、支払額に数百万円単位の差が出るケースもある。

手元に残るお金を少しでも多くするために、売却にかかる「費用」と「税金」の仕組みを、ここでしっかり確認しよう。

相続不動産の売却で発生する諸費用

売却活動を始めてから引き渡しまでに、主に以下のような費用が発生する。

物件の状態によって必要な項目が異なるため、自分の場合は何が必要か確認しよう。

【必ずかかる費用】

費用項目概要
仲介手数料不動産会社への委託費用
・目安:売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税(上限)
印紙税
(印紙代)
売買契約書に貼る収入印紙の代金。
売却価格によって金額が異なる(数千円~数万円程度)。
登記費用売却物件にローンが残っている場合の抵当権抹消。
登記上の住所と現住所が違う場合の変更費用。
※相続登記(名義変更)がまだ済んでいない場合は、その費用も別途必要。

【状況によってかかる費用】

費用項目概要
測量費用隣地との境界が確定していない場合に必要
解体費用古家を解体し、更地として売却する場合に必要
・目安:30坪の木造住宅で90~150万円程度
ハウスクリーニング費用売却前の物件清掃費用
その他の費用立退料
廃棄処分費 など

相続から不動産売却までにかかる税金

費用とは別に、売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して税金がかかる。

税金の種類概要
相続税相続した財産の額に応じてかかる
登録免許税相続した不動産の名義変更時にかかる
譲渡所得税相続した不動産の売却益に対してかかる
住民税相続した不動産の売却益に対してかかる
復興特別所得税令和19(2037)年まで所得税に加算される

「所有期間」で税率が大きく変わる

売却益にかかる税金(譲渡所得税)は、不動産の所有期間が「5年」を超えているかどうかで税率が倍近く変わる。

この所有期間は、「亡くなった方(被相続人)がその不動産を取得した日」を引き継いで計算する。相続した日からではない点に注意してほしい。

区分所有期間の判定税率の目安
長期譲渡所得取得から譲渡した年の1月1日時点で5年超約20%
(所得税15%+住民税5%+復興税)
短期譲渡所得取得から譲渡した年の1月1日時点で5年以下約39%
(所得税30%+住民税9%+復興税)

期間計算の注意点

「5年」の判定は、売却した日そのものではなく、「売却した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかで判断する。ここを間違えると税率が大きく跳ね上がるため、判断に迷う場合は必ず税務署や税理士へ確認しよう。

ただし、各種特例(3,000万円特別控除など)を利用することで、税金がゼロまたは減額になる場合がある。詳細は次項で解説する。

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相続した不動産の売却時に活用できる特例

相続不動産の売却では、利益(譲渡所得)が出ると多額の税金がかかる可能性がある。

しかし、以下の3つの特例制度をうまく活用すれば、税負担を大幅に軽減、あるいはゼロにできる場合がある。

自分の状況に合うものがどれか、確認してほしい。

相続税の取得加算の特例

相続税の取得費加算の特例とは、相続税を納めた人が相続した不動産を売却する際に、支払った相続税の一部を「取得費」として上乗せできる制度である。

取得費が増えれば売却益(譲渡所得)が圧縮され、結果として所得税・住民税の負担を軽減できる。

この特例を使うには、相続開始から3年10ヶ月以内に不動産を売却する必要がある。

適用要件

この特例を利用するには、以下の条件を満たす必要がある。

対象者相続税を納税した相続人
売却期限相続開始から3年10ヵ月以内の売却

加算できる金額の計算方法

取得費に加算できる金額は、次の計算式で求める。

加算可能額 = 納付した相続税額 ×(売却資産の相続税評価額 ÷ 相続財産の総額)

たとえば、相続税を1,000万円納付し、売却する不動産の相続税評価額が相続財産全体の50%を占める場合、加算可能額は500万円となる。

仮に譲渡所得が3,000万円であれば、この500万円を取得費に加算することで課税対象は2,500万円に圧縮され、税負担が軽くなる。

活用時の4つの注意点

この特例を使用する際には、4つの注意点がある。

注意点
  • 「3年10ヶ月ルール」の厳守
  • 複数の不動産がある場合の優先順位
  • 代償分割を行う場合の影響
  • 他の特例との併用ルール
1. 「3年10ヶ月ルール」の厳守

この特例を使うには、相続開始から3年10ヶ月以内に遺産分割を完了させ、かつ売却を済ませなければならない。相続人間の協議が長引くと期限を過ぎてしまうリスクがあるため、早めに手続きを進めることが肝心だ。

2. 複数の不動産がある場合の優先順位

複数の不動産を相続した場合、売却益が大きい物件に特例を適用するのが基本である。

たとえば、売却益が1,000万円のマンションと500万円の土地がある場合、マンションに適用したほうが節税効果は大きい。一方、売却しても利益が出ない物件や損失が生じる物件に適用しても効果は薄い。各物件の売却予想価格と取得費を比較し、専門家と一緒にシミュレーションすることをおすすめする。

3. 代償分割を行う場合の影響

代償分割とは、特定の相続人が不動産を取得する代わりに、他の相続人へ現金を支払って調整する方法である。

たとえば兄が不動産を相続し、弟に代償金200万円を支払うケースでは、特例で加算できる金額が減少する可能性がある。本来50万円加算できるはずが40万円に減ってしまう、といったことが起こりうるのだ。代償分割を検討する際は、税理士に相談して節税効果への影響を事前に試算しておこう。

4. 他の特例との併用ルール

取得費加算の特例は、他の特例と併用できる場合とできない場合がある。

併用できる特例としては「小規模宅地等の特例」や「居住用財産の3,000万円特別控除」がある。一方、併用できない特例として「空き家の3,000万円特別控除」が挙げられる。

たとえば売却益が3,500万円の場合、空き家特例を単独で使えば課税対象は500万円になる。取得費加算の特例だけを使うと課税対象は2,500万円だ。どちらが有利かは個々の状況によって異なるため、手続きの手間も含めて専門家と相談し、最適な選択をしよう。

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除とは、相続または遺贈によって取得した空き家を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度である。

近年、相続した実家が空き家のまま放置されるケースが社会問題となっている。この特例は、空き家の売却を促進し、適切な管理や流通につなげることを目的として設けられた。

適用要件

この特例を利用するには、以下の要件をすべて満たす必要がある。

売却期限相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日までに売却を完了
建物の条件相続した家屋が1981年5月31日以前に建築された一戸建てであること
※マンションなどの区分所有建物は対象外
被相続人の
居住要件
被相続人が相続開始の直前まで一人で居住していたことが必要
※要介護認定を受けて老人ホーム等に入所していた場合は条件付きで認められる
利用状況相続時から売却時まで、その家屋や敷地が事業・貸付・居住のいずれにも使用されていないこと
譲渡価額1億円以下
建物の状態売却前に耐震リフォーム、または売却後に買主が取り壊す

節税効果の具体例

この特例を適用すると、どれほどの節税につながるのか。3つのケースで比較してみよう。

スクロールできます
売却益控除なしの場合本特例を適用した場合節税額
2,800万円の場合税額課税
(税額:約560万円)
課税対象:0円
(税額:0円)
約560万円
3,500万円の場合税額課税
(税額:約700万円)
課税対象:500万円
(税額:100万円)
約600万円
4,000万円の場合税額課税
(税額:約800万円)
課税対象:1,000万円
(税額:200万円)
約600万円

このように、売却益の大きさによっては数百万円単位の節税効果が得られる制度である。

活用時の注意点

この特例を使用する際には、4つの注意点がある。

注意点
  • 相続税の取得費加算との併用不可
  • 証明書類の取得が必須
  • 相続人が3人以上の場合は控除額が減少
  • 適用期限は2027年末まで
1. 相続税の取得費加算との併用不可

空き家の3,000万円特別控除は、相続税の取得費加算の特例と併用できない。どちらか一方を選択する必要があるため、それぞれの節税効果を試算し、有利な方を選ぼう。

2. 証明書類の取得が必須

この特例を適用するには、耐震基準適合証明書または解体証明書の取得が必要だ。2023年の税制改正により、売却後に買主が建物を取り壊す場合でも特例が適用できるようになったが、その場合は自治体が発行する確認書を取得しなければならない。

3. 相続人が3人以上の場合は控除額が減少

相続人が3人以上いる場合、控除額の上限が1人あたり2,000万円に制限される。相続人が2人以下であれば1人あたり3,000万円まで控除できるが、3人以上になると上限が引き下げられる点に注意が必要だ。

4. 適用期限は2027年末まで

この特例には期限が設けられており、2027年12月31日までの売却が対象となる。相続した空き家の売却を検討している方は、期限内に手続きを進める必要がある。

3.マイホームを売ったときの特例

マイホームを売却する際には、税負担を軽減できる3つの重要な特例制度がある。

  • 3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率
  • 特定居住用財産の買換え特例

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除は、居住用財産を売却した際に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度である。

譲渡所得から最大3,000万円を控除できるため、売却時の税負担を大幅に軽減できる。

物件が共有名義の場合は、共有者それぞれが最大3,000万円の控除を受けられる点も大きなメリットだ。

適用条件
  • 売却時に居住中、または居住しなくなってから3年以内の家屋・敷地
  • 前年・前々年に特例適用がない
  • 売主と買主が特別な関係でないこと(例:親族間取引は不可)
注意点
  • 確定申告が必要

この特例を利用するには確定申告が必要である。申告を忘れると控除を受けられないため、売却した翌年の確定申告期間内に手続きを行おう。

10年超所有軽減税率

10年超所有軽減税率は、売却時点で10年以上所有していたマイホームを売却する際に、通常より低い税率が適用される特例である。長期間にわたってマイホームを所有していた人に有利な制度だ。

譲渡所得のうち6,000万円以下の部分については、通常の長期譲渡所得税率(20.315%)ではなく、14.21%の軽減税率が適用される。

この特例は3,000万円特別控除と併用できるため、両方を活用すればさらに大きな節税効果が得られる。

適用条件
  • 売却年の1月1日時点で所有期間が10年超
  • 日本国内の居住用家屋または敷地の売却
  • 前年・前々年にこの特例を受けていない
注意点
  • 所有期間は売却年の1月1日時点で判断

所有期間は「売却した日」ではなく「売却年の1月1日時点」で判断される。たとえば2025年3月に売却する場合、2025年1月1日時点で10年を超えている必要がある。この基準日を誤解すると特例を受けられなくなるため、注意が必要だ。

特定居住用財産の買換え特例

特定居住用財産の買換え特例は、マイホームを売却して新しい住宅を購入する際に、譲渡所得税の課税を将来に繰り延べできる制度である。

「繰り延べ」とは、税金が免除されるわけではなく、将来その新居を売却するときまで課税が先送りされることを意味する。

譲渡所得税の課税を繰り延べられるため、売却時点での税負担を抑えられる。また、住宅ローン控除との併用が可能な点もメリットである。

適用条件
  • 所有期間・居住期間ともに10年以上
  • 売却代金が1億円以下
  • 購入新居の条件は50㎡以上500㎡以下、取得翌年末までに居住を開始
  • 2025年12月31日までの譲渡
注意点
  • 税金免除ではなく繰り延べ
  • 3,000万円特別控除との併用不可

この特例は税金の「免除」ではなく「繰り延べ」である点を理解しておく必要がある。将来、買い換えた住宅を売却する際には、繰り延べていた分も含めて課税される。
また、3,000万円特別控除との併用はできないため、どちらを適用するか検討が必要だ。

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相続した不動産を売却するための必要書類

相続した不動産の売却には、「名義変更(相続登記)」と「売却手続き」の2段階があり、それぞれ異なる書類が必要となる。

書類の準備には時間がかかるものも多い。特に被相続人の戸籍謄本は出生から死亡までのすべてを集める必要があり、複数の自治体に請求が必要なケースもある。

スムーズに売却を進めるために、必要書類を事前に把握しておこう。

相続登記(名義変更)に必要な書類

まず、相続した不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する「相続登記」の段階で、以下の書類が必要となる。

書類名説明
被相続人の戸籍謄本出生から死亡までの連続したもの
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
相続人全員の戸籍謄本現在の状況を証明するもの
相続人の住民票不動産を取得する相続人のもの
固定資産評価証明書相続する不動産のもの
遺産分割協議書法定相続分と異なる場合に必要
印鑑証明書相続人全員のもの
遺言書遺言による相続の場合
相続関係説明図任意だが、あると便利

相続登記では、被相続人と相続人の関係を証明する戸籍謄本が特に重要だ。

被相続人の戸籍謄本は出生から死亡まで連続したものが必要なため、転籍している場合は複数の自治体から取り寄せることになる。

遺産分割協議で相続する場合は、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が追加で必要だ。遺言による相続の場合は遺言書を用意しよう。

売却手続きに必要な書類

相続登記が完了したら、次は売却の手続きだ。この段階では以下の書類が必要となる。

書類名説明
本人確認書類運転免許証、マイナンバーカードなど
実印・印鑑証明書売主のもの
登記済権利書または登記識別情報
固定資産税納税通知書最新のもの
住民票登記上の住所と現住所が異なる場合
売買契約書売却時のもの

固定資産税納税通知書は、物件の評価額を確認するために使用される。また、登記上の住所と現住所が異なる場合は、住所変更登記が必要となるため住民票を準備しよう。

注意点

成年被後見人が売却する場合や、相続財産管理人が売却する場合は、家庭裁判所の許可など追加書類が必要となる。該当する場合は専門家に相談しよう。

また、2024年4月から相続登記は義務化されている。売却の予定がなくても、相続を知った日から3年以内に登記手続きを行う必要がある点も覚えておこう。

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相続不動産を売却するときの注意点

相続した不動産の売却では、通常の不動産売却とは異なる注意点がある。

特に、知らないとトラブルになりやすい2つのポイントについて詳しく解説する。

共同名義は全員の同意が必要

相続により複数の相続人が共有名義で不動産を所有している場合、売却には共有者全員の同意が必要だ。

これは民法第251条で定められており、一人でも反対する共有者がいると売却できない。

共有名義の不動産には、行為の内容によって以下のルールが適用される。

  1. 変更(処分)行為
    全体売却や長期間の賃貸など、共有者全員の同意が必要
  2. 管理行為
    リフォームなど、持分価格の過半数の同意が必要
  3. 保存行為
    定期清掃など、同意なしで可能

相続による共有の場合、相続人が多数になると連絡先がわからないなど、全員の同意を得ることが難しくなるケースもある。

なお、自分の共有持分のみを売却する場合は、他の共有者の同意は不要だ。共有持分とは、各所有者の権利の割合のこと。たとえば3人で平等に所有する場合、各人の共有持分は1/3となる。

ただし、共有持分だけの売却は買い手が見つかりにくく、価格も安くなりやすい点は理解しておこう。

単独登記型の換価分割は贈与とみなされるリスクがある

換価分割とは、相続した不動産を売却して現金化し、相続人で分配する方法だ。換価分割には「共同登記型」と「単独登記型」の2種類がある。

単独登記型は、特定の相続人が不動産を単独で相続・登記し、売却後に代金を他の相続人へ分配する方法だ。意思決定がスムーズで、手続きを一人で進められるメリットがある。

しかし、単独登記型には注意点がある。売却後に受け取った現金を他の相続人に分配すると、贈与とみなされる恐れがあるのだ。

これを避けるには、遺産分割協議書に以下の内容を明記する必要がある。

  • 換価分割を目的として、特定の相続人が不動産を取得すること
  • 売却代金から諸費用を差し引いた残金を、決められた割合で各相続人が取得すること

また、遺産分割協議書に明記した後は速やかに売却活動を行うことが重要だ。数年後に売却すると、贈与とみなされる可能性がある。

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相続不動産を高く売却するためのポイント

相続不動産を高く売却するなら、次のポイントを心がけよう。

複数社への査定依頼で最適な不動産会社を選ぶ

相続不動産を高く売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要だ。最低でも3社程度に依頼しよう。

複数社に依頼することで、適正価格を把握できるほか、不動産会社の対応力を見極められる。また信頼できる会社や担当者を選ぶための、判断材料にもなるだろう。

不動産一括査定サイトの利用がおすすめ

複数の不動産会社に査定依頼する際におすすめなのが、不動産一括査定サイトの利用だ。

一度入力するだけで、複数の不動産会社に同時に査定依頼ができる。

不動産一括査定サイトのメリットは、以下の通りだ。

  • 手間と時間の節約
  • 24時間いつでも依頼可能
  • 複数社の査定結果を簡単に比較できる
  • 無料で利用できる

一括査定サイトを活用することで、効率的に適切な不動産会社を見つけられる。さらに、相続不動産の高値売却につながる可能性が高まるのも、大きな魅力だ。

おすすめの不動産一括査定サイト

不動産一括査定サイトは各種あるが、その中から特におすすめの3サイトを紹介する。

リビンマッチ

リビンマッチは、全国2,700社以上の不動産会社と提携。最大6社に一括査定を依頼できる、不動産一括査定サイトだ。不動産売却、土地活用、賃貸管理など、幅広いサービスを提供している。

リビンマッチの強み
  • 大手から地域密着型まで多様な不動産会社に査定依頼可能
  • マンション、土地、戸建てなど様々な物件に対応
  • 20年以上の運営実績による信頼性
  • シンプルな入力で迅速な査定依頼完了

「マンション査定でどの不動産会社を選べばよいかわからない」という方に適したサービスである。

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HOME4U

HOME4Uは、NTTデータグループが運営する日本初の不動産一括査定サイトだ。2001年のサービス開始以来、20年以上の実績がある。

HOME4Uの強み
  • 大手企業運営による安心感
  • 約2,500社の提携不動産会社
  • 厳選された実績ある不動産会社との提携

大手企業の運営で安心して利用でき、査定精度が高いと評価されている。

また厳選された不動産会社のみが登録されているため、実際の売買価格に最も近い信頼できる査定結果を得やすいのが特徴だ。

不動産売却が初めてで不安が多い方に、おすすめのサービスである。

不動産売却一括査定「イエウール」

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※2022年1月現在 「不動産の一括査定サイトに関するランキング調査」より

相続不動産の高額売却には不動産売却一括査定サイト活用が不可欠!

相続不動産の売却は、遺産分割協議から相続登記、売却依頼、現金分割まで複雑な手順を踏む必要がある。高値での売却を実現するには、複数の不動産会社による査定が不可欠だ。

だからこそ、不動産一括査定サイトの活用がおすすめである。不動産一括査定サイトなら、24時間いつでも手軽に複数社への査定依頼が可能で、時間と手間を大幅に節約できる。

また、査定額の比較や不動産会社の対応力を見極めるのにも、効果的だ。

相続不動産の売却を検討されている方は、ぜひ不動産一括査定サイトを利用して、効率的かつ有利な条件での売却を目指していただきたい。

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※2024年9月20日-24日 「サイト評価に関する調査」より

相続不動産の売却に関するよくある質問

相続人が複数人の場合、相続した不動産はどのように分割しますか?

相続人が複数いる場合、不動産の分割方法には主に以下の4つがある。

  1. 共有
    不動産を複数人で共有し、持分割合を設定。全員の同意がないと売却などができず、トラブルになりやすい。
  2. 現物分割
    不動産を物件ごとに分けて単独所有する方法。不動産が複数ある場合に有効だが、価値の差が生じることがある。
  3. 代償分割
    特定の相続人が不動産を取得し、その価値に応じた代償金を他の相続人に支払う方法。代償金を準備できる資力が必要。
  4. 換価分割
    不動産を売却して現金化し、それを相続人で分配する方法。公平性が高いが、売却まで時間がかかる場合がある。

これらの方法は、遺産分割協議で相続人全員の合意を得て決定する。

不動産は、相続前と相続後のどちらで売却すべきですか?

相続後の売却がおすすめだ。理由は以下の通りである。

  • 相続税の負担を抑えられる(不動産は現金より評価額が低い)
  • 「相続税の取得費加算の特例」が使える
  • 時間をかけて良い条件で売却できる

ただし、相続人間でトラブルの可能性がある場合は、相続前の売却も検討すべきだろう。

相続のとき、不動産はどのように評価額が決まりますか?

相続時の不動産評価には、主に4つの方法がある。

  1. 固定資産評価額
  2. 相続税評価額
  3. 公示価格
  4. 実勢価格

一般的に相続税申告では、相続税評価額が使われる。しかし遺産分割では、実勢価格が考慮されることがある。

評価方法の選択は、相続人間の合意や裁判所の判断によって決定されるので、一概にはいえない。

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※2024年9月20日-24日 「サイト評価に関する調査」より

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